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3月28日 NEW

目次

13. PhocusWire Daily の週間トラベルテックニュースのまとめ

14. Google、トラベルタールのAI能力アップデート

15. 2025年第1四半期の旅行スタートアップの資金調達とM&A活動

3月24日

1. 短期賃貸セグメント:独自の弧を描く

2. IATA、セキュリティと運営効率改善でデジタルID採用促進要求

3. ホスピタリティー運営者の決済詐欺と戦う方法

3月25日

4. Bolt、電気自動車ライドシェアサービス Viggo 買収

5. スペイン Gaiarooms、テックホテル拡大で 1,000万ユーロ 調達

6. AI とデータ、ツーリズム再編の3つの具体例

3月26日

7. Intele Travel、イベントチケットTickitto買収

8. AI 回答エンジン Perplexity、Selfbook と Tripadvisor と提携

9. オフィス出勤命令がある中で、デジタルノマド ホスピタリティの新局面

3月27日

10. アジアの完全なリバウンドとAI革命:未来への飛躍

11. ボルト、空港ピックアップのフライト追跡を導入

12. 航空会社が経済的懸念表明、OTA巨人たちは心配すべきか?

3月17日の週の編集人コメント

 

Tripadvisor Groupは、Viatorの新社長に元Booking.com幹部のPepijn Rijversを任命した。彼は4月1日から就任する。Viatorは現在、Tripadvisor Groupの戦略的・財務的中心であり、2024年の取扱高は42億ドル、売上は8億4,000万ドルで前年比14%増の成長を記録している。CEOのMatt Goldbergは、今後も体験事業の拡大を重視し、供給拡大やパーソナライズ強化、AI・データ活用を進める方針を示した。CFOのRijversは、体験予約市場の成長余地に注目し、グローバルマーケットプレイスの構築を目指す。

「1. Tripadvisor、Booking.comのベテランをViator社長に」

 

Viatorの調整後EBITDAは3,300万ドル(マージン4%)であり、Brand Tripadvisorの3億100万ドル(32%)と比べると大きく見劣りする。なぜViatorの利益率は低いのか? その要因は、体験型旅行事業の構造的な課題にあると考えられる。具体的には以下の点が挙げられる。  

  • 商品の単価が低い

  • サプライヤーの規模が小さく、必然的にマージンが低くなる

  • 販売プロセスが複雑(直前キャンセル、スケジュール変更、払い戻し対応が多い)

  • GetYourGuide、Klook、Airbnb Experiencesなどとの競争が激化

  • 顧客獲得のための有料マーケティングコストが高額

  • トラベルテック導入への投資負担が大きい

 

Viatorは現在、高成長フェーズにあり、短期的な収益性よりも事業拡大を優先している。そのため、マーケティングコストの高さ、サプライヤーとの収益分配、技術投資などが重なり、利益率は低水準にとどまっている。しかし、今後、顧客獲得コストの安定化や規模の経済が進めば、利益率が改善する可能性はある。  

「エクスペリエンス市場は重要」と言われる一方で、ビジネスとしての採算性を高めるのは容易ではないようだ。  

 

 

 

 

 

(編集人)

 

3月21日

13. PhocusWire Daily、今週のテックニュースのまとめ

14. ヨーロッパ規制当局、Google が DMA に準拠していないことを発見

15. 旅行会社はオーバーツーリズムにどれくらいの責任があるのか?

3月17日

  1. 米国旅行代理店市場、回復力と繁栄の市場

  2. ヴァージンアトランティック、英国の電子エアータクシーで Joby と提携

  3. Tripadvisor、Booking.com のベテランを Viator 社長に        閲覧数第1位

3月18日

4. 生成AIと旅行者の好みとの関連性のプロファイリング 

5. ルフトハンザのAIアシスタントSwifty、スイス航空をパイロット

6. 2025年はAIエージェントが航空会社のショッピングを変革する      閲覧数第2位

3月19日

7. Tripadvisor、不正レビュー増加に継続対処

8. 新規則、ホテルのデジタルIDソリューション採用促進           閲覧数第3位

3月20日

9. Steve Milo、Vtrips CEO 辞任

10. スペイン技術対応キャンプ場運営者 HolaCamp が 1,000万ユーロ調達

11. ビジネス旅行者の大半、AI に旅行の要素を予約させるだろう

12. Accor の CDO、流通、直販、ロイヤリティ語る            閲覧数第4位

3月21日

13. PhocusWire Daily、今週のテックニュースのまとめ

14. ヨーロッパ規制当局、Google が DMA に準拠していないことを発見

15. 旅行会社はオーバーツーリズムにどれくらいの責任があるのか?     閲覧数第5位

3月10日の週の編集人コメント

 

「13. Airbnb、新Experiencesの詳細発表」では、Airbnbが、同社の体験プラトフォーム「Experiences」の再始動へ準備を進めていることを伝える。新機能としてAPI統合、共同ホスト管理、簡易リスティング作成を導入する。

5月の「Summer Release」で詳細を発表予定だが、これに先立ちオペレーターやガイドの募集を開始した。2020年の失敗を踏まえ、体験業界の専門家を採用するなど、 本気でこの事業を再構築しようとしている。Airbnbは体験事業を立て直し、旅行の新たな柱にする考えだ。

CEO兼共同創立者のBrian Cheskyは、かつて「『総合旅行社』を目指す」と語っていたが、その姿勢は明確になってきた。旅行業界誌のライターが「・・・彼らはより伝統的なOTAモデルに移行しているようだ・・・」と指摘している。

ちなみに、随分と前から、PhocusWire Dailyも、AirbnbをグローバルOTA 4社のコホートに、Booking.com, Expedia, Trip.comと肩を並べて併記している。

「7. 生成AI、航空会社の採用状況は?」が、航空業界は生成AIの活用を加速  

しているという。航空会社は生成AIを活用し、予約アシスタントなどの導入を進めている。KLMの「Ask Atlas」、デルタ航空の「Delta Concierge」、ルフトハンザの「Swifty」などが登場している。  

 

コールセンターにおけるAIアシスタントなどの業務効率化がコスト削減に大きな成果を挙げているそうだ。それに加えて競争優位性の向上にも活用され、LLMを活用した市場分析ツールを開発や、価格最適化エンジの導入が進んでいる。さらには、AIはロイヤルティプログラムの最適化にも期待されており、業界全体でAI活用が進んでいる。

 

NDCの導入にあれだけ長い時間を要した航空会社が、今度は、なぜか迅速な生成AIの導入に踏み込んでいる。生成AI導入で、一挙に、ふんだんの技術的負債の解消を目論んでいるのだろうか?ハイプ(誇大宣伝)でないことを祈るばかりだ。

このニュースを読んでいて、ふと考えた。生成AIによってオペレーションが効率化され、コックピットの自律操縦やボット客室乗務員が導入され、そして路線便数計画や収入管理の最適化まで完遂されたならば、人間の出る幕がなくなってしまうじゃないかと。

何も航空輸送に限った話ではないが、未来の生成AIの社会は、誰も想像もできないほど、とてつもなく劇的な変革をもたらすのだろうか?

(編集人)

3月10日

1. American Express、Center 買収

2. 自律AIエージェント Manus、レースに参加

3. AIエージェント進歩、ホスピタリティテックに「アプリの黙示録」近いか?   閲覧数第1位

3月11日

4. クレジットカードの次、将来の旅行業界決済

5. 北東アジアのオンライン旅行販売、300億ドル突破

6. スタートアップの舞台:Arcube、ポイントのアンシラリー使用を支援

7. 生成AI、航空会社の採用状況は?                      閲覧数第3

3月12日

8. 英国航空 親会社 IAG、航空イノベーションに2億ユーロ投資計画

9. AF/KLM、クラウドで Accenture と提携

10. CEOスポットライト:ExoticcaのPere Valles                閲覧数第5

3月13日

11. AIトリップ計画 Mindtrip、トラベルガイドプラットフォーム Thatch 買収

12. Wyndham、流通と支払いコスト節約で Katanox 買収

13. Airbnb、新Experiences の詳細発表                    閲覧数第2

3月14日

14. PhocusWire Daily、今週テックニュースのまとめ

15. 電子モビリティサブスクリプション Dance,200万ユーロ調達

16. 旅行スタートアップ創設者が会社の運営から離れる理由           閲覧数第4

​3月3日の週の編集人コメント

 

4つの記事が必読だ。全てが生成AIに関連する。

 

「1. AI、旅行をどのように変えるか」では、AIが提供するパーソナルな旅行体験の実際を紹介する。AIが旅行者(この記事ではSarah)の検索履歴や嗜好を分析し、SNSで特別オファーを提供。さらに、AIはフライト変更やホテル連携まで自動対応。旅行業界では、AIがデータ分析、需要予測、チャットボット、感情分析などで活用されていると伝える。

 

「4. 革命的な旅行管理会社は存在する」は、AIの新時代では革命的(revolutionary)な法人旅行管理会社でなければ生き延びられないと言う。

企業向け旅行業界(TMC)は崩壊しているという意見に反論。従来のTMCモデルは時代遅れだが、革新を遂げたTMCは成功している。TMC業界には変革の波が来ており、先進的な企業が道を切り開いていると言っている。

 

「7. Alexa+、旅行計画ファンネルトップで稼ぐ」は、

AmazonはAIアシスタント「Alexa+」を発表。エンタメ、整理、会話、注文、チケット予約、旅行情報提供などを強化していると伝える。いよいよ、モノの小売の王者のAmazonが、コトの旅行販売まで手を出すか? 専門家たちは、AIアシスタントの可能性を認めつつ、旅行の感情的要素の提供には懐疑的。Alexa+は旅行市場への影響を与える可能性があるが、成功は不透明だと言っている。

 

最後の「13. メタサーチ、エージェント型AI登場に付いて行けるか?」は、

AI時代におけるメタサーチの未来を議論する。KayakやTrivagoはAIを活用し、独自価値を提供することで競争力を維持できると主張。メタサーはAIと共存・進化する可能性があり、業界の適応が鍵となるという。

 

つい最近では、OpenAIのOperatorが登場するなど、生成AIを活用したエージェント型AIが次々と登場している。PhocusWire Dailyのトラベルテックニュースを読むと、旅行業界の既存ブランドにも必ず大きな影響が生じるだろう。

 

旅行業界ではすでに、生成AIを活用したパーソナライズ旅行プランの提供や、チャットボットを活用した問い合わせ対応の自動化が進んでいる。今後は、AIによるダイナミックプライシングや、旅行者の行動予測に基づいたリアルタイムのオファー提供など、より高度な活用が期待される。

 

 また、既存の大手旅行ブランドだけでなく、AIを活用したスタートアップも新たな価値を提供し、市場競争が一層激化すると考えられる。従来のビジネスモデルに固執する企業は、競争力を失うリスクが高まるだろう。この変化は急速に進んでおり、適切に対応しなければ市場からの退場は避けられない。

 

 企業は、AI活用を前提としたデジタル戦略を策定し、柔軟に対応できる体制を整える必要がある。例えば、クラウドベースのAIツールを導入し、データ分析を強化することで、より精度の高いマーケティングや顧客対応が可能になる。また、AIを活用した新たなサービス開発に積極的に取り組むことも、競争優位を築く鍵となる。

 

 生成AIの進化はまだ始まったばかりであり、今後、音声対話型AIや、より高度な旅行アシスタントの登場も予想される。さらに、メタバースやVRとの連携により、AIを活用したバーチャル旅行体験が普及する可能性もある。こうした技術革新をいち早く取り入れた企業が、次世代の旅行市場をリードしていくだろう。

(編集人)

3月3日

1. AI、旅行をどのように変えるか

2. スタータップの舞台:Walkaway、AI駆動プラットフォームでアクティビティプロバイダー支援

3. PhocuswrightとWiT、地域のツーリズム勢い増加で 中東に戻る

4. 革命的な旅行管理会社は存在する                      閲覧第3位

3月4日

5. エクスペディア G.で人員カット

6. Summer、短期レンタルのための資産管理ツール立ち上げ

7. Alexa+、旅行計画ファンネルトップで稼ぐ                 閲覧際1位

3月5日

8 Mews、7,500万ドル調達して米欧展開拡大

9. Trip.com と WTTC、将来にテクノロジーゲームに灯火

10. 人工知能とサーバーセキュリティ:旅行ブランドはどのくらい悩むべきか?   閲覧第2位

3月6日 

11. Selina Hotels、新オーナーの下で Socialtel ブランドへ

12. アクセシビリティの問題で散らかった旅行サイト

13. メタサーチ、エージェント型AI登場に付いて行けるか?                                閲覧第4位

3月7日

14. PhocusWire の今週のテック記事のまとめ

15. 会話型AIプロバイダー  Kleio、300万ドル調達

16. Corsair Capital、IDnow の過半株式買収

17. Booking.com、AIイニシャティブの進展を発表              閲覧第5位

2月28日の週の編集人コメント

 

「5. 米国旅行者、宿泊計画と予約の方法」が、PhocuswrightのU.S. Consumer Travel Reportを紹介している。その中で、米国のレジャー旅行者の

多くは、特定の目的地を決めてから具体的な旅程の計画を開始するようだ(10人に6人近く)。しかし残る3分の1は、どこに行きたいのかを決めることをできかねていると言っている。そして目的地を選定できていない人たちは、宿泊施設の良し悪しとかその価格が、目的地の決定に影響を与えると言っている。

 

目的地を決めかねている人たちは、彼らのパーソナルな旅行のウオンツとかニーズをはっきりさせていないのだから、ただ漠然と旅行に行きたい、日常から逃避したい、と思っているだけのだろう。そういう彼らには、前からくどくどと述べさせてもらっている「旅行者のパーソナリティに基づく旅行の提案」などできないことになる。

したがって、3分の1の(米国レジャー)旅行者に対しては、“パーソナライゼーションは旅行ブランドの重要な差別化要因” となはならないことになる。このレポートは、そんな人たちに対しては、宿泊施設が目的地選定の重要なファクターになるという。

金科玉条、パーソナル、パーソナルと声高に叫んでいた自分が情けない。

 

短期レンタルの予約サイトSavvyのCEOのインタビュー記事「11. CEOスポットライト:SavvyのEric Coldreyer」で、このCEOは、「AIは旅行業界にどのような影響を与えると思いますか?」の質問に対し、

「(AI)エージェントがいると思います。そして、あなたはGoogleに行かないでしょう。そして、あなたはSavvyや他のオンライン旅行代理店(OTA)の1つに行くこともあるでしょう。あなたはあなたの(AI)エージェントに行くでしょう。そして、その(AI)エージェントは外に出て、あなたが探しているものに基づいてあなたに最適な特別販売の商品を見つけるでしょう。ですから、企業はAPIを通じてこれらのツールを統合して、ゲームに参加できるように準備する必要があると思います」と答えている

 

同じようなことを、大手OTAのCEOたちが「19. オンラインジャイアンツ、マーケティングに178億ドル消費」の中で述べている。彼らは、巨額のパーフォ―マンスマーケティング(Expedia のCEOは、paid marketing と言っている)を減らすために、AIエージェントに活路を求めるという。

このニュースの中の「コストパークリック(cost-per-click)からコストパーエージェンティック(cost-per-agentic)検索への、移行の可能性を見出す人もいます」と言う。CPCからCPA・・・まさに絶妙の表現だ。

 

絶妙な非表現とは言わないまでも、「8. 英国航空、70億ポンド変革プログラムで技術進歩に対応」の中に、気に入って印象に残る表現があった。

このニュースは、英国航空がITインフラストラクチャに7億5,000万ポンドの投資を行うと伝える。そしてこの会社のCCO(chief commercial officer)がこう言っている。「・・・お客様が望むものを提供することは、今やとても重要です。当社の既存のプラットフォームは、お客様の要件を満たしていません。誰もが現代の小売業で得られる経験を求めていますが、既存のシステムではそれを提供できませんでした。私にとって、私たちの投資の大部分は、お客様に旅のコントロールを与えることです。お客様のニーズを満たすには、オンラインで100%サービスを可能にする( 100% serviceability online)ことが必要です。それがお客様の期待であり、お客様の要求です」と。

だから航空会社は、Amazonのモデルになるべく近づけるためにNDCを導入している。

 

関連記事として「9. 航空会社の2024年IT支出370億ドルに」があった。

(編集人)

 

2月24日

1. スタートアップの舞台:Dazhboards、ツアーオペレーター効率高めたい

2. Expedia Group ロイヤリティ レシピ、サプライ、テック、顧客サービス

3. 米国、訪問者流入準備に空の旅投資必要

4. 革命(revolution)は、旅行管理の世界を修正できるか?

2月25日

5. 米国旅行者、宿泊計画と予約の方法

6. 航空会社の10%以下がスタートアップ投資

7. Trip.com Group 第4四半期決算、海外旅行とインバウンドで予約増

8. 英国航空、70億ポンド変革プログラムで技術進歩に対応

2月26日

9. 航空会社の2024年IT支出370億ドルに

10. Flywire、3.3億ドルでホスピタリティ支払い専門家 Sertifi 買収

11. CEOスポットライト:Savvy の Eric Coldreyer

2月27日

12. 不動産管理プロバイダー Apaleo、ホスピタリティAIエージェントのマー市場創設

13. 旅行マーケターが、アフィリエイト戦略にもっと期待できる(そして期待すべき)理由

14. テクノロジーと政治、旅行ディール(M&A)を再構築する

2月28日

15. PhocusWire の週間トラベルテック ニュースのまとめ

16. AI 旅行ソフトウエアプロバイダー Maya、100万ユーロ調達

17. DerbySoft、Arise 買収し旅行代理店とホテルの関係強化する

18. Amadeus、2024決算で収益二桁増加

19. オンラインジャイアンツ、マーケティングに178億ドル消費

2月第4週の編集人コメント

 

「9. アンシラリー AI、顧客価値作る」が、AIを活用したアンシラリー商品の最適化が、航空会社の収益向上に貢献。動的価格設定により、顧客の好みに合わせたオファーをリアルタイムで提供している、と伝える。AI主導のモデルが価格弾力性を分析し、パーソナライズされた体験を実現。AirBalticの事例では、6%の収益増加を達成したという。

ここでは、アンシラリーについて解説してみたい。

 

LCC航空会社は、低運賃を実現するために、削り取ることができる全てのサービスを無くしてしまった。いわゆる「ノーフリルサービス」のビジネスモデルを開発した。ノーサービスにした分、運賃を引き下げることができたのだ。

そして削り取ったサービスの、座席指定、受託手荷物、機内食、空港ラウンジなどを次々と有料とし、それに加えて旅行保険やレンタカー、ホテル予約などもアンシラリー商品に加えて積極的に販売するようになった。

FSC航空会社(Full Service Carrier)も、競争上、同じように “裸の運賃”(barebornes)とか ”ベーシック運賃” とも呼ばれる低運賃を作るようになった。

そしてこれらのアンシラリー商品は、レストランにおける定食とアラカルトの分離に倣って、アラカルトとも呼ばれている。さらに述べれば、アンシラリー運賃の対極として、全てのサービスを束ね合わせたFSCの運賃を、バンドル(bundled)と呼んでいる。また、航空会社独自でバンドル化した運賃は、ブランド運賃(branded fare)とも呼ぶ。FSCのアンシラリー商品には、常顧客プログラムのマイレッジポイントのクレジットカード会社販売も含まれる。

 

IdeaWorks社の2023年アンシラリー収入報告書によれば、世界のトップ10航空会社のアンシラリー収入は541億ドル(約6兆円)に達し、年々大幅に増加している。LCCでは、アンシラリー販売増収に懸命で、旅客収入のなんと最大50%を構成するLCCまで現れた。あるLCCが、機内のトイレを有料化しようとして、物議を醸したこともあるくらいだ。

 

アンシラリー販売は、航空会社の優れたマーケティングとされている一方、一部では、消費者を惑わす「狡猾な販売戦術」(例えばドリッププライシングとかオプトアウトとか)に繋がると言うネガティブな評価も存在する。

規制当局は、消費者保護の観点から、オンラインで表示する運賃には、その運賃に付随する全ての有料サービスの内訳を、最初の検索段階で(最後の予約の段階ではなく)、はっきり表示させることを義務付けた。

 

また、この航空会社のアンシラリー商品販売のマーケティングは、ホテル業界にも伝播している。ホテルは、ルームサービス、客室アップグレード、レートチェックイン、スパやジムなどのホテル施設内で利用可能なサービスのアンシラリー販売に力を入れている。そして最近では、客室の時間貸しに加え、施設外のホテル周辺の体験(エクスペリエンス)までも商品化している。

 

Tripadvisor Groupは、2024年に体験の記録的な収益を報告した。同社の体験予約サイトViatorは、2022年の33%から昨年の同社の総収益の46%を占めている。(「12. トリアドG、エクスペリエンスが戦術とファイナンシャルのセンターに」)

 

航空会社やホテルは、パーソナライズしたアンシラリー商品の販売に力

を入れている。

(編集人)

​​

2月17日

休刊

2月18日

目次

1. HOT 25 TRAVEL STARTUPS FOR 2025: ZENTRUMHUB

2. 旅行の未来、考えているより速く来る

3. ホスピタリティ収入管理プロバイダーRoomPriceGenie、$7,500万調達

4. AF/KLM、小売に対する数百万投資でアマデウスと提携

5. 2025年は支払いの変革の年か?

2月19日

6. STARTUP STAGE: Boom、AI で物件管理大革命

7.英規制当局、AMEX GBT の CWT 買収ブロック再検討

8. EVTOL 進化、ついに離陸するか?

2月20日

目次

9. アンシラリー AI、顧客価値作る

10. オープンネットワークSuperlogic、Bookit報酬プラットフォーム立上げ

11. セーバー、予約増とテック支出削減がQ4決算好決算貢献

12. トリアドG、エクスペリエンスが戦術とファイナンシャルのセンターに

2月21日

13. フォーカスライトとWITの第4回 世界新興企業ピッチ開催

14. 今週のトラベルテック記事のまとめ

15. BOOKING H. CEO、2024年好決算でエージェントAIに強気

​2月10日の週の編集人コメント​

 

「18. エアビー、2025年新事業に2.5億ドル支出」読んだ感想を書く。

 

短期賃貸大手のAirbnbが、2025年に新規事業に2億5,000万ドルを費やすという。記者会見でCEOのBrian Cheskyは、「新しいAirbnbが始まる」と述べているが、新しいビジネスの具体的な計画は発表されていない。

「Airbnbのコア(中核事業)を超えて拡大する」とも言っているが、総合旅行会社構想は具体化されておらず、又その重要要素となるべき航空券販売も、いまだに開始されていないのだ。

それでも最近、Experiencesの挽回のためにIconと銘打った特別なエクスペリエンス(体験)のプログラムを立ち上げている。来たる5月の定例アップデートのイベントで、どのように“新しくなる”のかの発表が待ち遠しい。

 

その話とは別にして、同社の業績は極めて好調だ。2024年の短期賃貸(STR)業界の厳しい市場環境下にも拘らず、増収(+12%)増益(調整後EBITDA +11%)の好決算を達成した。COVID-19以降、4期連続で増収増益を達成している。

以下は、Airbnbの証券取引委員会提出決算書からの抜粋である。

 

 

(編集人)

2月10日

1. 今すぐ購入後で支払う、旅行者に予算管理とより多くの支出を促す

2. SNOWFALL リセット、JUNCTION として再開

3. Superlogic、顧客エンゲージメント変革で1,370万ドル調達

4. NDC、航空会社小売の初の構成要素である場合、次は何か?        閲覧第1位

2月11日

5. HOT 25 TRAVEL STARTUPS FOR 2025: TURPAL

6. 東南アジア、AI旅行計画移行若年旅行者

7. AI、旅行スタートアップに与える影響                   閲覧第4位

2月12日

8. ITB ベルリン - より国際的でより大きな

9. Exoticca、プレゼンス拡大とAIテック開発で 2,500万ドル調達

10. Mint House、Locale 買収でポートフォリオ拡大

11. Klook、アジアと世界への拡大で1億ドル調達              閲覧第2位

2月13日

12. CEO SPOTLIGHT: SEAN FITZPATRICK OF LIGHTHOUSE       閲覧第3位

13. 今週のフォーカスワイアー 旅行テック記事のまとめ

14. Dertour Group、Hotelplan Groupの残るブランド買収

15. CEO SPOTLIGHT: SEAN FITZPATRICK OF LIGHTHOUSE

2月14日

16. 今週のフォーカスワイアー 旅行テック記事のまとめ

17. Sonder、マリオット提携の詳細発表

18. エアビー、2025年新事業に2.5億ドル支出​                閲覧第5位

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2月3日の週の編集人コメント

 

「3. OpenAI のOperator、旅行検索と販売への影響」と「13. “Operator“、旅行ショッピングゲームをどのように変えたか」が必読だ。ChatGPTの助けを借りて、要約すると以下の通りとなる。

 

「3. OpenAI のOperator、旅行検索と販売への影響」

  • OpenAIの新しいAIツール「Operator」が旅行業界で注目を集めており、Tripadvisor、Uber、Hipcamp、Priceline、Booking.comなどの大手企業が協力している。

  • Tripadvisorは、OpenAIと協力して旅行プラン生成ツールを開発しており、AIによる旅行計画支援を強化している。

  • Pricelineは、OpenAIと提携して独自のAIチャットボットを改善している。

  • ウエブサイトのオーディエンスに、AIカップル(AIエージェントとAIアシスタント)が新たに加わるので、検索が激変する可能性ある。

  • この新たなオーディエンスの加入で、ウエブサイトは、コンバージョン重視のトランザクションタイプから、正確で信頼できるコンテンツの提供がより重要になる。

  • マーケティング戦略は 、パーフォーマンス・マーケティング偏重からAIエージェント検索への投資にシフトする可能性がある。

  • AIエージェントによる販売チャネルの増加は、OTAを急成長させる可能性がある

  • Operatorによる具体的な効果とその導入スピードは不透明であるが、業界関係者は12〜24か月以内に広範な採用が進むと予測している。

  • 一方で、消費者の行動や好みが変化の速度を決定づけると考えられている。

 

「13. “Operator“、旅行ショッピングゲームをどのように変えたか」

  • 「Operator」の登場により、実際の予約や取引がAIエージェントによって簡略化されるようになった。

  • 一つのプロンプトで全行程を同時に検索できるほか、細かな条件(例:レストランまで徒歩圏内、特定の予算、駐車場の有無など)も反映できる。

  • OTAが対応していないAirbnbやローカルの非公開商品にもアクセス可能である。

  • AIエージェントは、旅行日程の柔軟な調整や、価格交渉も自動で行える。

  • 技術的にはすでに多くの部分が実現可能であるが、課題も多く残っている。

  • 旅行予約の手間を大幅に削減し、全体の予約量を増加させる一方で、中間業者の役割を縮小させることで価格競争を促進する。

  • これにより、OTAや検索エンジンが得ていた手数料収入が圧迫される可能性がある。

  • ChatGPTの登場からわずか2年でここまで進化したAI技術は、次にAGI(汎用人工知能)への発展が期待されている。これが旅行業界にどのような影響を与えるかは未知数ですが、大きな変革をもたらすことは間違いない。

 

上記の2つの記事は、OTAの将来について意見が分かれるが、旅行業界に地殻変動的な影響を与えることは確かなようだ。

(編集人)

​​

2月3日

1. サイバーセキュリティの警鐘:ホスピタリティ新リスクと脆弱性

2. BlaBlaCar、ヨーロッパ鉄道グループを通じ公正流通を働きかける

3. OpenAI の Operator、旅行検索と販売への影響        閲覧第1位

2月4日

4. 旅行管理会社の将来

5. INTREPID、SAWADEE 買収で10億ドルへ増収

6. MIZE、RIGHTREZ 買収し、テクノロジーを複数の旅行分野に拡張

7. 旅行におけるロイヤルティの変化               閲覧第2位

2月5日

8. Vacasa、既存株主からの高額オファー検討

9. トリバゴ第4四半期、2023年以来初めて増収

10. CEO Spotlight: Alberto Gutiérrez of Civitatis       閲覧第5位

2月6日

11. デジタルマーケティングの進化に苦労している目的地

12. Canary Technologies、ホテル支援 “AI Voice” プラットフォーム立上

13. “Operator“、旅行ショッピングゲームをどのように変えたか  閲覧第4位

2月7日

14. Phocuswright Europe 2025、新時代 新エージェント焦点

15. 今週のトラベルテック記事のまとめ

16. ルフトハンザAIアシスタント SWIFTY、LINE メッセンジャーに統合

17. エクスペG、今後1年間のAI活用3戦略            閲覧第3位

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