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2024年 9月第4週 の 編集人コメント​

​ 先週の編集人コメントで、旅行のワンストップショップやコネクテッドトリップ、そしてスーパーアプリに対する複数の懐疑的なニュースについて触れた。同じように今週では、

5. Amadeus CTO、テック優先事項はクラウドと生成AI」が、「『つながった旅行』『完璧な旅行』を作り出したいといったスローガンが次々に出てきているが、実際にはあまり実現されていない。関係するプレイヤーの多い複雑な旅行では、どのプレイヤーも単独では解決できない」といっている。

また「6. AI と旅行:到達したのか?」では、「デジタルエージェントは、基本的なクエリーを処理するかもしれないが、人間の監視の価値は依然として不可欠である。旅行会社が盲目的にAIに傾くリスクは、常に旅行体験の要であるパーソナライズされたサービスが失われる可能性がある」と警告する。

 そして「AIが本当に旅行に利益をもたらすためには、人間のエージェントを補完するツールとして位置づけられるべきであり、置き換えるものとしてではない」という。

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​​ 数年前、そう“数年”も前に、ロサンゼルスに出張した際に、フリーの時間ができたので、J. Paul Getty Museumに行き、Santa Monicaの海岸を散策し、ひとりで充実した丸1日の楽しい思い出に残る観光を楽しんだことがある。

Uberの親切な運転手さんなどは、詳しい観光案内までしてくれた。米国の三大大衆スポーツは、アメフト、バスケ、野球(それにアイスホッケー)と教えてもらった。どれが一番人気とはいえない。地域や季節によってまちまちだという。

 この観光は、スマホのGoogle TripとUberのアプリで、全て自分で簡単に手配することができた。この思い出(なーんだ、スマホで全てが手配できるんだという感激)が、今でも強烈に残っている。

 

だから自分は、この経験から、生成AIを装備したデジタルエージェントが、つまりポケットに入るツアコン(添乗員)が、必ずできる、できてほしいと思っている。今週の記事にあったように、世の中には、必ずNaysayers(否定論者)はいるものだ。

シンギュラリティ(AIが人間の知能を超える転換点)には、とても到達しないだろうが、多くの職の担い手(例えばCPAや翻訳者など)が、AI に取って代わられるといわれている。旅行エージェントだって、例外とはならない。作日の新聞には、ChatGPTが自然言語による会話で0.3秒のタイムラグで応答すると書いてあった。今に、同時通訳までAIが代行するだろう。

 

これも数年前、某大手旅行代理店のカウンターに、夫婦で国内旅行の相談に行ったことがある。長時間待たされた挙げ句、既製のパッケージ旅行の案内だけで(案内係の女性は、分厚いビニールケースに入ったパンフレットを束ねた分厚いファイルを出してきて、そこの旅館を逐次説明するだけで)、残念ながらパーソナルなエクスペリエンスの案内などは、みじんもしてもらえなかった。これでは、わざわざ時間をかけて出掛けていく理由がない。

このようなことを経験している者には、「AIエージェントは、人間のエージェントを補完するツールとして位置づけられるべきであり、置き換えるものとしてではない」という話は通じそうにない。

この旅行代理店を含め、大手たちは、実店舗をどんどん閉めてオンラインに移行させている。

 もうすでに、なんと、AIより前に人間のエージェントがいなくなりつつある。

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