top of page

2024年 11月第2週 の 編集人コメント

4. AI検索が旅行の発見にどのような影響を与えるか」が、「ChatGPT SearchがGoogleに取って代わる可能性は低いものの、未来の検索利用者がAIであるという想定は重要である。企業はユーザー(またはその代理であるAI)が求める回答を的確に提供しなければ、瞬時に競合に流れてしまう」といっている。

 

生成AIが出てきてから、データがますます重要になっている。現在、キーワード検索のオークションが稼ぎの源泉の一つとなっているGoogleでは、Google Travelをはじめとするデータの宝庫を持っているのだから、AI検索が登場してきても、誰よりもこの新しいUIに適応できるというのだろう。

サードパーティクッキーを利用しているのは主に広告主である。サードパーティクッキーが使えなくなると、広告主はユーザーの関心に応じたパーソナライズ広告を配信することが難しくなる。その結果、広告の効果が下がり、広告出稿が減少する可能性がある。広告が減る(あるいは広告を出しても、パーソナライズされていないので、広告の効果が薄れる)ことで、消費者が広告を目にする機会も減り、それに伴い広告主の商品やサービスの売上にも影響を及ぼすことが考えられる。

また、広告収入の減少は、広告ビジネスに依存しているGoogleにも影響を与えるだろう。

ただし、サードパーティクッキーにはプライバシーの観点から課題が指摘されており、そのため各国で規制が進められている。こうした背景を受け、Googleは広告主に対し、よりプライバシーに配慮した代替手段の活用を推奨している。

 

また、この記事の中の「AI検索の利用者がAIである」という説明ぶりが非常に印象に残った。

 

この他にも、注目すべきAIの記事が連続する。

7. 旅行業界は技術の『飛躍』の瞬間に備えているか?」は、旅行業界には「技術的負債」という課題が残っており、完全なテックの刷新は困難だが、API接続やオープンソフトウェアの利用により、新旧システムの統合が進み、変革への準備が整いつつあるといっている。

 

「飛躍」、英語では「リープフロッグ」なる言葉は、日本の二つの「蛙」を思い出させてくれる。

 「ゆでガエル」は、ビジネスでよく使われるたとえ話だ。水にカエルを入れて徐々に熱くすると、カエルはそれに気づかず、そのまま死んでしまう。変化に気づかず致命傷を負うことを意味する。もう一つは、「井の中の蛙」である。自分の知識や経験が限られおり、広い世界や多様な視点を知らないことを意味する言葉だ。

 跳ねガエル(リープフロッグ)になっても、「ゆでガエル」や「井の中の蛙」にはなってはいけない。

 

6. Trivago、引き続き損失を報告、減損費用計上」がTrivagoの第3四半期決算の損失計上を伝える。日本のTVでも広告を打っているので、このメタサーチの業績は良いとばかり思っていたが、その反対だといっている。2020年から2023年までの4年間の損益計算書は、2021年を除いて損失計上の連続だ。リフェラルを収入源とするメタサーチの収益性は、あまり良くないといわれているが、Trivagoの業績悪化は、Google Travelとの競合、サプライヤーのダイレクト(直販)強化、OTAのダイレクト(ダイレクトアクセス)強化の影響をもろに受けているのだろうか。

とはいうものの、Trivagoの株式60%はExpediaが保有している。つまり単独の利益計上を超えて、Expediaの戦略的なエージェントとしての役割が非常に強いと考えられる。 Expedia GroupはTrivagoを、他のOTAや旅行プラットフォームに対抗するための重要な広告メディアとして活用し、Trivagoもその役割を果たすことで、Expediaの全体的な成長と競争優位性をサポートしている。Trivagoのリフェラル収入のほとんどは、Expedia Groupから流れ込んできている。このように、TrivagoはExpediaにとって単なる収益源ではなく、戦略的資産として位置付けられて
いるのだろう。

スクリーンショット 2025-04-14 0.11.45.png

Trivagoについて、もう一つの疑問点がある。それはTripadvisorを売却(2011年)したExpediaが、なぜ同種のビジネスモデルに近いTrivagoの過半株式を取得した(2012年)のか?という疑問である。Expediaの経営陣は、成長したTripadvisorを独立企業としてスピンアウトした方が、株主にとってメリットがあると判断したのだろう。また同種のビジネスモデルといっても、Tripadvisorはレビュー(評価の口コミ)サイトであり、純粋のメタサーチモデルのTrivagoとは性質を異にしている。Expediaは、自社のポートフォリオには、このメタサーチであるTrivagoをもっと必要としていたのだろう。Expediaにとって、Tripadvisorは独立した企業として成長するポテンシャルがあると判断した一方、TrivagoをExpediaのエコシステム内に保持することで、より大きな収益源とする戦略を選んだと考えられる。

 

また「8. スタートアップ、起業家、投資家が生成AI車の衝突事故を回避する方法」は、旅行業界における生成AIの急成長が、投資家たちの間で注目を集めている。しかし生成AIのブームに過度に期待することは危険も伴うという。基本に立ち返り、データの整備を重要視し、焦らず慌てず対応しろといっている。

+++++

bottom of page