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2024年 2月第3週 の 編集人コメント

2. Journera清算、コネクテッドトリップ依然重要」では、機械学習、巨大データセット、生成AIを使って新たなコネクテッドされた旅行のシステムを開発するという理想を追ったスタートアップが、倒産したというニュースを伝える。

この会社のCEO Jeff Katzは、長年旅行業界の最高幹部を次々と経験した超ベテランであるが、彼をもってしてもコネクテッドは成功には至らなかった。彼は、採算点に達しなかった理由として;

(1) 最近、世界で導入された一連のプライバシー規制

(2) 業界のコネクテッドトリップの認識不足

の2つを挙げている。「コネクテッドトリップ」の構想は、全く間違っていないと思われるが(Booking Holdingsも、同様のコネクテッドトリップ戦略を推進している)、企業化のタイミングが早すぎたのだろうか。いみじくも。彼自身も「そろばんを使っている人たちに電卓を売ろうとしている」と言われたと告白している。

 

そんな残念な報道を横目に、今週も多くの生成AIの「イケイケどんどん」なニュースが掲載されている。

 

3. Priceline、生成AIチャットボットをプラットフォーム上の全製品に拡張

Pricelineは、生成AIチャットボットPennyの立ち上げから約8ヶ月で、これに30以上の新機能を追加した。カスタマーサポートの人力の電話応対に比較すると、旅行あたり平均10分近くの時間を節約できるという。同社は「完全にAIを導入する」という戦略を掲げている。

 

5. Airbnb、調整後EBITDAは前年比28%増

Airbnbは、AIを活用し「プラットフォームに想像もできなかった革新をもたらし、AIインターフェースのリーダーになる」と発表している。この人工知能戦略を加速するために、昨年11月にはGamePlanner.AIを買収し、コアビジネスの拡大に向けた準備を整えている。

 

7. 生成AI活用状況:HomeToGo、プラットフォーム全体にAIを統合

HomeToGoは、「完全AI搭載」戦略を推進している。AIを活用し、顧客とのパーソナライズされたやり取りを実現し、顧客とパートナーのユーザーエクスペリエンスの向上を目指している。

これらの記事は、どれもが「AI導入の成功談」ぽい話で、今年中にもプラットフォームに完全統合するとまで言っている。しかし、「8. 次世代ホスピタリティ顧客サービス、ハイタッチとハイテクの両立」は、確かにセルフサービス重視の傾向が強まっているものの(消費者の67%がセルフサービスを好んでいるという調査結果もある)、「人間のサービスが自動化に合わせて必要だ」と戒めている。1月第4週の「21. 旅行業界をデジタルで再構築」でもハイタッチを忘れてはならないと指摘されていた。

また、「11. ニューヨーク大学学部長、旅行会社の戦略的優位性には生成AIと語る」では、旅行が生成A Iの最も明白な適用事例の一つであり、この技術を使用することが、戦略的優位性を得る最も簡単な方法であると述べている。しかし一方で、「現在のビジネスにおけるAIの活用はまだ表面的なものであり、企業全体としての包括的なアプローチが必要だ」 とも指摘。企業の発表を額面通り受け取るべきではない と注意を促している。

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