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2024年 2月 第4週の編集人コメント

 

3. アメリカン航空、NDCと直接予約の促進でマイル獲得条件を厳格化

アメリカン航空が、NDC(New Distribution Capability)経由の予約の拡大に力を入れている。NDCを経由しない予約に対して、マイレージポイントの制限を開始し、現在80%のオンライン予約を100%にすることを目標としている。そして、ダイレクト(直販)を拡大する戦略だ。つまり、それはGDSのセグメントフィーのコスト削減をしたいためだ。

米国TMC(法人旅行管理会社)のAmTravは、アメリカン航空の流通戦略は「行き過ぎだ」と批判しているようだが、どうして、この勢いを止められない。

残るビッグ3のユナイテッド航空やデルタ航空も、アメリカン航空を追随することになるのかもしれない。

欧州大手に続いて、米国の大手も本格的にNDCを採用し始めている。

このニュースには、消費者が直接、つまりTTAやOTAなどの仲介業者を経由することなく、航空便やホテルなどの予約をするという「Direct Booking(直販)」と、航空会社とOTAなどの仲介業者がGDSという接続システムを経由せずに、NDCという技術仕様に基づき、インターネット経由で直接的に予約等の処理を行う「Direct Connect(直接接続)」という、コスト削減のための2つの「中抜き」が示されている。

旅行業界のマーケティングとしてはもう一つ大事な「中抜き」がある。それは、商品を発見してもらうための広告費用の削減で、特にオンライン化が進んだ今日では、検索エンジン(Googleなど)に支払う有料広告オプションを減らすことだ。検索エンジンを通さない「Direct Access」(URLの直接指定や、QRコード、SNSからの誘導など)や、検索エンジン経由でも無料のOrganic(自然)検索を増やすことだ。

ここでも直接(Direct)という単語が出てくるから、ややこしい。有料広告を減らしたいのは、サプライヤーであっても、OTAであっても同じ気持ちなので、なおさらだ。

​例えば、「10. Booking Holdings、スペイン競争当局による 5.3億ドルの罰金に反発」では、Bookingが、同社のロイヤリティプログラムGeniusを強化し、Direct Accessの増加を目指しているという具合だ。

 

このほか、サプライヤー直販では、「4. AIがデジタル広告と直販を促進する仕組みについての研究」で、AIを活用したホテルの広告キャンペーンが直販を増加させていることが指摘されている。

OTAのダイレクトについては「7. AI 活用状況:MakeMyTrip、AI導入でコンバージョン率が向上」の記事もある、AIの活用がOTAへのダイレクト予約の増加に貢献していることが伺える。

サプライヤーと仲介業者の流通戦争は、AIの登場で激戦となりそうだ。勝敗を分けるポイントは、「4. AIがデジタル広告と直販を促進する仕組みについての研究」の記事でSHR GroupのCEOが述べている「パーソナライゼーションとゲストプロファイルの所有権」にあるのかもしれない。

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