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2024年 2月 第 5週・3月 第1週の編集人コメント

 

原文に2つの印象に残ったフレーズがあった:

1つ目

1. 2024年旅行者チョイス:有料ロイヤリティへの加入価値

『・・・今日の旅行者はカスタマイズされた体験(experience)を求めており、80%は好みのブランドからのパーソナライゼーションを期待している。』

2つ目

6. 法人旅行、3つの技術トレンドに注目」のTravelportの地域事業開発ディレクターのあるイベントにおける発言

『・・・個人であっても、旅行を予約するときにペルソナが日常的に変化するため、パーソナライゼーションは難しいテーマである。』

 

1. 2024年旅行者チョイス:有料ロイヤリティへの加入価値」は、旅行者がパーソナルな旅行提案を強く求めていることを再確認させてくれた。

6. 法人旅行、3つの技術トレンドに注目」は、そうは言っても、実際のパーソナライゼーションの実行は難しいという指摘だ。Amazonや楽天などの「モノ」の商品を多く取り扱うネット小売業とは異なり、旅行のような「コト商品」は、特に難しい。なぜなら、旅行者は移り気な消費者であり、タビマエ(旅行前)におけるキュレーションや商売は、非常に難易度が高いからだ。だからこそ、Travelportのディレクターはこう述べている。「・・・特定の旅行者に特定のオファーを提示することを可能にする技術がすべてだとは思わない。私にとってパーソナライゼーションは、旅行者や予約者が自分のパーソナライゼーションをフィルタリングする機会を与えることである。」と。

 

なるほど、合点がいく。ファンネル上部でいち早く潜在的顧客を獲得することが、コンバージョンを高める要諦だとマーケティングの101(入門書)には書かれている。トランザクション(予約)の段階にまでおりて来てしまっている見込み客は、捕まえ難いのだと書かれている。その上、「OTAのコンバージョン率はわずか2%~4%程度なので、ファンネルの上部まで駆け上がって誰よりも早く掴めてしまえ」、と。しかしまったく「言うは易し、行うは難し」である。コンバージョンがごく僅かなので、大手OTAはパフォーマンスマーケティングに巨額の広告費を費やしている。その多くがGoogle Searchエンジンに支払われている。

 

だけれども、「12. AI活用状況: Trip.com、AIアシスタントで「より良い世界のための完璧旅行」の実現を目指す」を読むと、生成AIの進化により、「特定のオファー(つまり、完璧旅行=Perfect Trip)」の提示 も夢ではなくなるかもしれない。

 

「キュレーションとは」をググってみると、Googleの検索画面は、次のように回答した。「一定のテーマや分野の情報を収集・選別・編集して共有することを指す。インターネット上の膨大な情報を整理し、利用しやすい形にまとめることで、ユーザーのニーズに応えている。」

 

旅行計画段階の旅行者は、この「インターネット上の膨大な情報の整理」でトコトン困っているのだから、これをやってくれるAIエージェントを待ち焦がれている。これが実現されれば、完璧旅行のベースができることとなる。

 

10. エアアジア、HTSと提携し、フィンテック関連サービスを導入」によると、AirAsia MOVEは月間1,500万人のアクティブユーザーを抱え、700以上の航空会社と90万軒の宿泊施設を扱っている。エアアジアは、航空業界の小売革命を牽引するアジア最大のローコスト航空会社(LCC)である。

このニュースではAirAsia MOVEをエアアジア系のOTA(オンライン旅行代理店)と説明しているが、正しくはエアアジアのスーパーアプリと表現すべきだろう。AirAsia MOVEは、旅行とライフスタイルを統合したスーパーアプリであり、航空券予約、ホテル予約、ライドシェア、フードデリバリー、金融サービスなど、多様な機能を1つのプラットフォームで提供している。

スーパーアプリとは、一つのアプリ内で複数の機能を統合し、ユーザーが決済、ショッピング、交通、ソーシャルなどのさまざまなサービスを利用できるプラットフォームのことを指す。代表的な例として、中国のWeChat、東南アジアのGrab、インドネシアのGojekなどがあり、特にアジアの旅行業界でその開発が進んでいる。

1月第1週の「5. Uber、Rappi、旅行戦略と「スーパーアプリ」の野心」では、Uberがスーパーアプリ市場に参入し、中南米のスーパーアプリRappiが成長していることが伝えられている。

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