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2024年 4月 第5週・5月 第1週 の編集人コメント​

 

7. 消費者ニーズあるのに、なぜ旅行計画スタートアップ苦労?」が、スタートアップが旅行計画段階の潜在旅行者をつかまえるのは、至って難しいといっている。

 旅行者は、旅行のインスピレーションから予約に至るまでの数週間で、38の旅行関連サイトを閲覧している(2013年Expedia 調査)という煩わしさを除去すればよいことはずっと前から分かっているのだが、今までに誰もそれに成功していない。Phocuswrightの調査によると、旅行計画のスタートアップの40%以上が、それで失敗しているそうだ。

そもそもタビマエの計画段階にいる潜在的旅行者の多くは、しっかりした計画を持っておらず、極めて移り気なので捉えどころがないのだから。

 

原因は、旅行者の旅行頻度が少ない、旅行会社の的確な情報伝達ができていない、つまりパーソナライゼーションができていない、旅行者の目的地情報よりも“掘り出し物”の割引価格へ群がる傾向がある、旅行者が自分で調査して計画するのが大好き、などによるといっている。解決策にAI利用が考えられるが、結局は、Googleなど大手に先を越されてスタートアップは出る幕がないといっている。

(要参照:3月第5週の「10. Google、広告なし(今のところ)で生成AI旅行計画強化」)

 

それでも「5. スタートアップItair、AI 装備で予約可能コンテンツ作成」や「15. Joyned、AIプランナーでオンライン旅行ベンダー増収加速」などが、果敢に事業化に挑戦している。

 完璧なパーソナライゼーションを提供できれば、スタートアップだって事業化に必ず成功できると信じたい。

 

4. 2024年の旅行会社、課題を機会に変える方法」が、「旅行ブランドが大きく依存しているサードパーティクッキーの終焉と、利用可能な広告機会の大部分を食い尽くすと予想される(大統領)選挙サイクルの間で、すべての旅行のブランドはデジタル戦略を再考する必要がある。(中略)これらすべての課題に対する解決策は、旅行者のユニークなニーズと欲求に基づいてトリガーされたメッセージングにもっと焦点を当てることである。潜在的な旅行者にどのメッセージを送るべきかを知る秘訣は、彼らが誰であるか、どこに行きたいのかをよりよく理解することである」(つまりパーソナライゼーション)といっている。

 

コネクテッドトリップでは、旅行者が「誰であるか」を知るだけでなく、「今どこにいるのか」を把握することも求められる。タビマエ→タビナカ→タビアトをエンドツーエンドでコネクトするのだから、当然の流れだ。

 

「どこにいるか」といえば、旅行雑誌に載っていた、ある出来事を思い出す。米国人の旅行者が、イタリア沖のクルーズに乗船中、船が座礁・転覆してしまってストランド(立ち往生)した時の話である。その旅行を世話した在宅勤務の旅行代理店*は、直ちに欧州の提携代理店に連絡を取り、その旅客が必要とする日用品を用意させ、帰国の旅程を整えた。

このように、在宅勤務の旅行代理店は、地元の顧客に徹底的なサービスを提供していることで有名だ。大手の旅行代理店では、とても太刀打ちすることができない、実に強い地域密着型の旅行代理店である。

 

この話を、日本の旅行代理店の人にしたことがある。すると彼は、「そんなこと理想論。ツアコン(添乗員)がいる団体旅行ならできるけれど、個人の旅行者にはできるわけがないでしょう。だってペイしないんだから」と。これでは話にならない。

*在宅勤務の旅行代理店とは、米国で、専門の店舗を持たずに個人事業主(在宅勤務旅行従事者〔home-based agent〕)が自宅で経営する旅行代理店のことを指す。トラベルアドバイザーとも呼ばれ、多くが、旅行会社のインデペンデントコントラクターとなっている(日本では「パパママエージェント」などと呼ばれることもある)。確かな人数は不明であるが、米国旅行代理店の就労人口の大半を占めるともいわれている。また、在宅勤務の旅行代理店を支援するために、ホストエージェンシー、コンソーシアムやトラベルフランチャイズといった会社が存在し、これらはコミッション獲得のサポートやGDS(Global Distribution System)環境の提供などのサービスを行っている。

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