top of page

2024年 7月第4週 の 編集人コメント

この1週間では、CrowdStrikeによる世界同時IT障害に関する記事が、以下にリストした通り3つもあった。旅行業界は、大規模IT障害のリスク管理を整えろという。そして生成AIを組み込んだソリューションを利用すべきだと訴えている。

6. CrowdStrike障害で旅行業界対応に警鐘、どう対応すべきか

7. 米運輸省、デルタ航空のスケジュール混乱調査

12. CrowdStrikeきっかけ、テクノロジーによる旅行危機管理計画形成方法

 

5. GBTA予測、今年法人旅行需要新記録、2028年2兆ドル」は、法人旅行需要の真っ盛りを伝える。しかし、「8. 旅行業界、気候変動の正義に対応しているか?」は、特に法人旅行では頻繁に利用されている長距離航空便に問題ありと指摘する。

長距離便のCO2排出量があまりにも大きいといいうのだ。長距離フライトは、総旅行回数のわずか2%を占めているに過ぎないが、観光の全世界の排出量の19%を生み出していると、Travel Foundationの2023年の報告書は指摘している。現在の成長率が続けば、これらのフライトとその総排出量は2050年までに4倍になるとされている。

 

業界は、大規模IT障害リスクに加えて、サステナビリティの問題の対応も迫られている。

 

またこの「8. 旅行業界、気候変動の正義に対応しているか?」の記事は、「高所得国が全旅行・観光のCO2排出量のほぼ半分(46%)を占め、国際航空およびクルーズでの排出量の3分の2(67%)を占めていると報告されている。後進国では気候変動によるリスクが高く、これらのリスクに耐えるためのレジリエンスを構築するための資源が少ない。これらの不公平を是正することは容易なことではない」と、先進国と後進国との間の不公平を是正する必要があると訴える。

 

世界のモノの取引には、WTO協定(旧GATT)が存在するように、世界のコトの取引(つまりツーリズムとトラベル)にも、同じように、独立した国際的な標準や規則の制定が必要になっているようだ。

 

日本の経常収支も、従来の「モノの輸出」中心から第一次所得収支*の黒字が支える構造へと大きく変化している。これは、日本経済の競争力や産業構造の変化を反映しており、特にサービス収支の改善が顕著になっている。

2023年(1〜12月)の「経常収支」は20兆6,295億円となった。[上1] [HU2] その内訳を見てみると、モノの輸出入である「貿易収支」が赤字(△6兆6,295億円)となった。コトの輸出入を表す「サービス収支」も赤字(△3兆2,026億円)となる一方、「第一次所得収支」が大幅な黒字(34兆5,573億円)を計上した。

「サービス収支」については、「旅行」(3兆4,038億円)と「知的財産等使用料*」(3兆2,209億円)が大きく黒字となって、サービス収支全体の赤字幅を大幅に減少させている。

*所得収支 = 対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等の収支状況を示す
*知的財産等使用料 = 特許権、著作権等の使用料の受取・支払

スクリーンショット 2025-04-15 10.36.57.png

旅行収支の黒字については訪日外国人(インバウンド旅行者)の大幅増によってもたらされたことは言うまでもない。旅行の黒字は過去最高を記録し、2015年から9年間連続で黒字を計上している。

 

また、最近問題視され始めている日本の「デジタル赤字」は 、サービス収支の「通信・コンピュータ・情報サービス」 に計上されており、2023年の赤字は15.5兆円と推計されている。米国の Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud などのクラウドサービスや 、Netflix、YouTube Premium、Spotify などのコンテンツ配信サービスを利用する際の支払いがこれに該当する。

+++++

bottom of page