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​3月24日の週の編集人コメント

「9. オフィス出勤命令がある中で、デジタルノマド ホスピタリティの新局面」について、本当にそうなのだろうか?と疑問に思った。

この記事は。世界的にリモートワークの縮小傾向が強まっているものの、一部の企業はデジタルノマド市場の成長を楽観視しているというのだ。

この市場のスタートアップSelinaが、財政難により2024年7月に破産。その後、シンガポールのCollective Hospitalityに買収された。しかし、その一方でOutsiteは、起業家やフリーランサーのノマド需要が増加していると分析。ホテルの選定による新たな会員制モデルを展開し、アフリカやアジアにも進出を計画している、とまだまだ市場は健在だ。フランスのNabooは、企業向けリトリート市場で成長し、欧州各国に展開していると伝えている。

 

多くの企業がリモートワークを制限し始めており、完全リモートを許可する企業は前年の17%から8%に減少している。アメリカではトランプ大統領が政府機関の職員をオフィス勤務に戻す大統領令を発令し、世界的にオフィス回帰の流れが加速している。どう見たって、この市場はめっきり勢力を無くしていると考えるのが妥当ではないのだろうか?

 

この米国の動きなどを見ていると、デジタルノマドは、「過去の人たち」になってしまった・・・と思っていたら、この記事に遭遇した。この遊牧民を追っている宿泊施設が依然として健在だと言っている。そして、今後、デジタルノマド向けホスピタリティは、企業向けリトリート市場の成長や、リモートワーク特化企業の需要拡大を背景に、新たな局面へと進むことが予想されると、いかにも肯定的な書き方をする。

企業によるリトリート(company retreat)とは、職場、仕事、日々の職務から離れて実際に集まり、社内研修や合宿を通じて、アクティビティや交流を楽しむことを指す言葉らしい。AIが、人間の職場を奪いつあるのが現実だ。職場の研修も業務の自動化によって、その必要がなくなっているそうだ。だとすると、企業によるリトーリー市場だって先行き暗い感じが拭えない。

 

コロナ禍で、一時、在宅勤務やリモートにおける長期滞在が、「ニュノーマル」になりつつあるともてはやされて、声高に叫ばれた時があったが、その勢いは「職場復帰命令」によって消し飛んでいると考えて良いのではなかろうか。

 

「12. 航空会社が経済的懸念表明、OTA巨人たちは心配すべきか?」

米国の航空会社は業績予測を下方修正し、経済の不透明感が一層広がっている。貿易戦争の激化や消費者の信頼感低下が旅行業界に影響を及ぼし、2025年の米国への海外旅行者数は12.7%減少、旅行支出は180億ドルの減少が予測されている。カナダや欧州からの渡航警戒も高まっている。オンライン旅行会社(OTA)への影響は依然不透明だが、米国で最大のシェアを誇るExpedia Groupは特にリスクが高い可能性がある。

2024年に好決算を計上した米国のメジャー3社も、2025年の業績ガイダンスを下方修正した。Trump大統領の関税政策が、世界経済に波乱をもたらしている。

経済協力開発機構(OECD)は、2025年の世界GDPの見通しを+3.3%(2024年12月時点)から+3.1%へと下方修正。報復関税の応酬合戦が広がれば、世界経済の見通しはさらに厳しくなり、米国経済にも大きな影響が及ぶとの見方が強まっている。航空会社3社の株価は年初以来、最低水準で推移している。

ツーリズムが平和産業であることを、改めて実感させられる。

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