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2025年 4月第3週 の 編集人コメント

AIの選び方、AIの利用法、AIへの対応ベストプラクティスについて、AIに関する指南書ともいえる以下の3つの記事があった。

3. 属性ベースの販売が勢いを増している理由

7. 旅行ビジネスの適切なAI モデルの選び方

16, 人間の最適化に20年:今がAIのために最適化する時

について、それぞれコメントしたい。

 

3. 属性ベースの販売が勢いを増している理由

人工知能(AI)が、現在、ホテルが直接販売を増やすための属性ベースの販売の採用を加速しているという。

属性ベースの販売の他に、ホテルの収益向上には、アップセル、アンシラリー販売がある。属性ベース販売が、部屋の特徴(バルコニー、階層、部屋の大きさなど)を個別に販売する方法に対して、

アップセルは、ゲストが予約した基本的な部屋よりも高価なオプション(例:より高ランクの部屋やスイート)を提案して、より高額なプランに誘導する販売手法である。

アンシラリー販売は、部屋の提供を超えて、追加サービス(例:スパ、食事、アクティビティ、専用サービスなど)を販売する方法である。これは、宿泊以外のサービスで収益を得ることを目指す。

属性販売は、ゲストが特定の好みに基づいて選べるようにすることで、部屋の基本的な価格以上に追加収益を得ることを目指す(二桁%の増収が期待できるという)。要は、ゲストが部屋自体を「カスタマイズ」する形である。

ボテルが、パーソナライズを提供できるので、客室販売の収入増加に加えてホテルの直販を増やすことができるという一石二鳥の販売手法だ。

 

話は、本題から少し外れるかもしれないが、この記事を読んで、日本のOTAのサイト(プラットフォーム)では、所謂「プラン」が存在することが思い浮かんだ。

プランは通常、宿泊日程、食事の有無、特典(例えば、早割やキャンペーン)などのパッケージとして提供されることが多い。これは主にゲストが部屋の価格に加えて、追加サービス(食事や施設利用など)を選べるようにするもので、アンシラリー販売に近い要素を持っていると言えるだろう。z

 

かつて外資ホテルの人から「日本のOTAは、なぜそんな細かなことを聞いてくるのか理解でいない」とクレームもどきの話を聞いたことがある。日本では、プランを作るために細かい情報が必要なのだ。

プランは、属性ベースの販売とは直接的に一致しないと言えるが、ある意味では複数の要素を組み合わせて収益を得るという点では類似性もある。ただし、プランが多すぎてサイトの見栄えが悪くしてしまうという問題がある。プランに加えて属性販売を導入したら、日本のOTAのプラットフォームは、もっと見栄えが悪くなってしまうだろう。

 

7. 旅行ビジネスの適切なAI モデルの選び方

AI技術の進化により、旅行業界でのAIモデル選択が複雑化している。2023年はOpenAIのChatGPTが主流であったが、その後、AnthropicやGoogleのGemini、DeepSeekなどが登場し、競争が激化し始めている。モデルの選択は、利用ケースによって異なり、例えば、膨大なデータを扱う場合には、大規模言語モデル(LLM)のGoogleのGeminiが有利だという。

 

複数のAIモデルを使用すること、選定基準を明確にすること、常に最新の技術に対応すること、そして柔軟で防御力のある戦略を採ることが重要だと示唆されている。Booking.comは、複数のAIモデルを使用:OpenAI、Anthropic、Google、AWSなど複数のパートナーと協力し、各使用ケースに最適なモデルを選択肢している。

大規模言語モデルの他には、予測分析、画像生成、コード生成、開発支援などのAIモデルや技術が存在する。企業は、コストや機能性を考慮し、最適なモデルを選び、柔軟に切り替える必要がある。新しいモデルが頻繁に登場するため、業界は迅速な対応が求められている。

 

16, 人間の最適化に20年:今がAIのために最適化する時

旅行業界のウェブサイトは、Googleなどの検索エンジン向けに最適化されてきたが、AI(大規模言語モデル)によるコンテンツのインデックス化や処理方法は異なる。AIはJavaScriptやスキーマを無視し、テキストベースでコンテンツを処理する。AI向けに最適化するためには、サイトを簡素化し、ブランド名を多く使うFAQセクションを作るなどの対策が必要となる。また、AIの可視性を高めるためには、従来のSEOに加えて新しいアプローチが求められている。早期にAIに対応したブランドが、今後のAI主導の旅行エコシステムで有利になるという。

 

検索方法が確実に、劇的に変わりつつある。目的地、旅行日、人数を検索ボックスにテキストで入力する方法から、自然言語(NLP = Natural Language Processing)に取り替えられている。NLPでは、よりきめ細かな検索を可能にするので、パーソナルな旅行提案も飛躍的に向上するだろう。

冒頭の属性販売の記事でも、「パーソナライズを提供できる」と言っていた。先週の「11. AI とビジュアル検索が旅行発見方法をいかに再構築するか」も、今後は「見る→探す→予約」が主流となると言っていた。

(編集人)

 

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