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3月第5週〜4月第1週 の 編集人コメント

 

7. Googleのツアーやアクティビティのプッシユ、OTAにペナルティを課す可能性があるか?」が、衝撃的なことを伝えている。

Googleの検索結果からOTAの露出が激減:「TripAdvisorなどの大手OTAのオーガニック検索結果が“ほぼ消滅”した」との指摘。

Google Things to doが地元事業者を優先表示し、直接予約を促進。結果として、OTAを「迂回」する流れが生まれているといっている。

これは、体験業界のことで、航空やホテルのトラベルサプライヤーの場合ではない。しかし、これらのサプライヤーだって、Googleが体験の場合と同じようにダイレクトするのだろう。

 

OTAは、積極的にAIエージェントを開発して、AIによるスクロールを増やしユーザーの取り込みを図っている。はて、Googleなのか、OTAなのか、両者のAI開発戦争が始まったとみるべきなのか。

そんなことになったら、Googleは、虎の子のOTAから得ている宣伝費をなくすことにならないか? 混沌としたAIの世界は、皆目想像がつかない。

 

Googleが体験予約で行っているように、ホテルや航空の検索結果でも“直接事業者”の表示を優先し始めている。

ホテル検索では、Google Hotel Adsに参加している宿泊施設が、自社予約エンジンへのリンクを上位表示できるようになっている。特にGoogleビジネスプロフィールを活用していれば、OTA経由よりも目立つ場所に“公式サイト”リンクが表示される場合もあるという。

航空検索(Google Flights)ではすでに複数年にわたり、航空会社の公式サイトへのリンクをOTAよりも上位に出す動きが加速している。

つまり、Googleが航空・ホテルでも「公式直販への導線」を強化しており、OTA経由の誘導が減る可能性があるという。

 

その航空検索については「3. 旅行エージェントからAIオペレーター、成長続ける航空検索トラフィック」が、さらに解説している。

航空券1枚の販売に対する検索回数(L2B)は、現在の2万回から生成AIの普及で20万回に達する可能性があると指摘されている。これはAIが人間の代わりに大量かつ24時間検索を行うためであり、航空会社のITシステムには大きな負荷がかかる。従来のAPI方式では対応が難しく、新たな検索技術への移行が急務。さもなければ、クラウド費用や環境負荷が増大し、業界にとって大きな課題となるといっている。

 

しかし、「11. 高度なオファーとオーダー戦略を持つ航空会社は3社に1社未満」が、

「NDC(新流通規格)は進展しており、航空会社の3社に2社が導入中。

しかし『オファー&オーダー変革』は遅れており、実質的な取り組みをしているのは全体の27%にとどまる。約半数の航空会社は、まだ戦略すら策定していない」といっている。

こんな状況で、AIの急速な進化に業界は追いついていけるのだろうか?
そう懸念せざるを得ない。航空会社の対応の遅さに、もどかしさを感じる。

航空業界のコンサルタント会社 Atmosphere Research Group の社長 Henry Harteveldt はこう述べている:

「これは、オファー、オーダー、決済、サービス、実行(delivery)など、小売業が関わる可能性のあるさまざまな側面を見渡し、どの組織や部門、機能が影響を受けるかを把握するジャーニーマッピング演習のようなものだ。テクノロジー面の影響も含めて、計画が重要だ。なぜなら、計画が甘ければ実行もうまくいかないからだ。」

 

このコメントは、かつて私がコネクテッドトラベルで「旅程のエンドツーエンドのすべての痛点を書き込んだ設計図を作れ」と書いた編集人コメントと見事に重なる。
私たちは“旅の担い手”である。ジャーニーマップの作成は、むしろ得意なはずではないか。

 

なお、「16. 関税の影響に対する旅行の備え」では、2週連続でトランプ前大統領による関税不況の到来を予想している。

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